肘関節
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
肘関節とは、肘にある関節で、腕の曲げ伸ばし(屈曲、伸展)を行うときにはたらく関節。上腕と前腕との間にあり、上腕骨と、前腕の骨である尺骨と橈骨が作っていて、とくに上腕骨と尺骨の役割が大きい。肘関節を曲げたときにとびだす側を肘(とくに肘頭)と呼び、屈曲した際の内側を肘窩という。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 肘関節 | ちゅうかんせつ、ひじかんせつ |
英語 | elbow joint | エルボウ・ジョイント | |
cubital joint | キュービタル・ジョイント | ||
ラテン語 | articulatio cubiti | アルティクラティオ・クビティ |
肘関節では、上腕骨、尺骨、橈骨の3本の骨が同じひとつの関節包に包まれているが、その内部には3つの関節がある。腕尺関節、腕橈関節、上橈尺関節である。これらをまとめて肘関節という。肘関節は、肘関節の外側と内側から、外側側副靭帯、内側側副靭帯に支えられる。
- 腕尺関節
- 前腕の屈曲伸展の運動を支える、もっとも重要な関節で、上腕骨と尺骨がつくる。上腕骨の下端の上腕骨滑車(円柱状になっている)を、尺骨の滑車切痕(深くくぼんでいる)が囲んでいる。上腕骨滑車と滑車切痕との形から、一方向の曲げ伸ばしの運動しかできない。その構造は、蝶番関節に分類される。
- 腕橈関節
- 上腕骨と橈骨がつくる関節。肘関節の運動にはあまり大きく影響しない。橈骨の上端にある橈骨頭の上面の平らな部分と、上腕骨小頭がつくる。腕橈関節だけでは、球関節のように自由に運動できるが、隣にならんでいる腕尺関節の制約によって、あわせて蝶番関節としてはたらく。
- 上橈尺関節
- 肘関節の関節包に包まれている関節だが、肘の曲げ伸ばしには関与しない。橈骨と尺骨との間にある2つの関節のうちのひとつで(もうひとつは、手首にある下橈尺関節)、どちらも橈骨と尺骨との間の回転を行う車軸関節。これらは、前腕をひねる運動(回外、回内)のときにはたらく。