回内
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
回内とは、運動の種類(方向)のひとつで、前腕(手)と足の運動で使われる言い方。動きの向きとしては、その名前のとおり、「内側に回わす」向きで、右半身では左回り(反時計回り)、左半身では右回り(時計回り)。回内と反対向きの運動は回外。回内された状態のことを、回内位と呼ぶ。回内の運動を起こす筋は回内筋。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 回内 | かいない |
英語 | pronation * | プロネイション | |
ラテン語 | pronatio * | プロナティオ |
* | pronation, pronatio の元の意味は、地面に伏せる、うつぶせになる。手のひらを地面に向ける動きのこと |
「位置を変えずにその場で回転」させる運動を、ふつうは回旋といい、内側に回転させる向きの回旋を内旋という。上腕(肩関節)、大腿(股関節)、下腿(膝関節)では内旋ができる。一方、手(前腕)や足を回転させる運動では、回旋(内旋)を使わず、手のひらを地面に向けるような回転方向の運動を回内、足でもそれと同じ回転方向の運動を回内という。
前腕(手)の回内 †
前腕では、肘を固定して手首を回転させる運動のうち、手を体の前に伸ばしているときに、手のひらを下に向ける運動(または、上肢を体の横で下に下げた状態で手のひらを体の後ろに向ける運動を回内という。
前腕の回内では、前腕の2本の骨である橈骨と尺骨の間で、橈骨が尺骨のまわりを回りながらずれる。これは、橈骨と尺骨の間の2箇所の関節(肘にある上橈尺関節、手首にある下橈尺関節)で起こる。手のひらを上に向けているとき、前腕は回外の位置(回外位)にあるが、このとき、前腕の橈骨と尺骨は平行になっている。そこから手のひらを下に向ける(回内させる)運動で、親指側にある橈骨が、小指側の尺骨の上を内側に回り込む。その結果、回内の状態では、橈骨と尺骨は交差している。
足の回内 †
足では、下腿を固定して足の裏(足底)を外側に向ける運動を回内という。これは足関節のうちの距骨下関節の運動によって起こる。