腹腔動脈
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
腹腔動脈とは、大動脈から直接、枝分かれする動脈のひとつで、腹腔の内臓のうち、もっとも上部にあるいくつかの内臓(胃、脾臓、肝臓、膵臓、十二指腸など)に血液を供給する。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 腹腔動脈 | ふくくうどうみゃく |
英語 | celiac artery | スィリアック・アーテリー | |
celiac trunk * | スィリアック・トゥランク | ||
ラテン語 | arteria celiaca | (英語読み)アーティリア・スィリアーカ (ラテン語読み)アルテリア・ケリアカ | |
truncus celiacus * | (英語読み)トゥランカス・スィリアカス (ラテン語読み)トゥランクス・ケリアクス |
* | trunk、truncus は、「幹」の意味で、日本語名には表されていないが、この動脈がごく短い、すぐに枝分かれして終わる動脈であることを示す |
大動脈のうち、腹腔を通る部分を腹大動脈というが、腹大動脈からその前方にある腹腔内臓に向かって、大動脈の前面から出る枝は3本ある。上から腹腔動脈、上腸間膜動脈、下腸間膜動脈で、これらは対をなさず1本ずつしかない血管。
腹腔動脈は、腹腔の上部(横隔膜のすぐ下、第12胸椎から第1腰椎の高さ、膵臓の上端の高さ)にある。腹大動脈から出たあと、1、2cmのところですぐに3つに分かれる。左胃動脈、脾動脈、総肝動脈の3本。左胃動脈は胃の左側に、脾動脈は膵臓のとなりを通って膵臓に枝を出しながら脾臓に、総肝動脈は、胃、膵臓、十二指腸に行く枝を出したあと、固有肝動脈(肝動脈)になる。
これらの臓器(肝臓以外)から出てきた血液は門脈に集まり、肝臓に流れ、肝静脈を通って大静脈に戻る。したがって、腹腔静脈という血管は存在しない。