門脈
門脈とは、特殊なつながり方をする静脈の一種。
- 門脈という構造の名前
- 代表的な門脈である肝門脈のこと
の意味で使われる。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 門脈 | もんみゃく |
英語 | portal vein | ポータル・ヴェイン | |
ラテン語 | vena portalis | ウェナ・ポルタリス | |
vena portae | ウェナ・ポルタエ |
目次 |
門脈という構造 †
構造としての門脈とは、静脈の途中で毛細血管に分かれるとき、その毛細血管の上流部分の静脈のこと。門脈とその先の毛細血管をあわせて門脈系と呼ぶ。体内ではごく限られた場所にしかない。
普通の血管は、
心臓 → 動脈 → 毛細血管 → 静脈→ 心臓
とつながる。毛細血管はその途中で1箇所だけである。しかし例外的に、静脈の途中でもう1度枝分かれをして、第2の毛細血管となる場所がある。通常の毛細血管と第2の毛細血管の間の静脈を門脈という。つまり、
心臓 → 動脈 → 通常の毛細血管 → 静脈(ここが門脈)→ 第2の毛細血管 → 静脈 → 心臓
となる。
門脈のある場所は体内でごく限られていて、代表的なのは、小腸、脾臓、膵臓などの腹腔内臓から肝臓に流入する肝門脈や、視床下部と下垂体をつなぐ下垂体門脈などがある。肝臓に流れ込む肝門脈がもっとも有名で、肝門脈のことを単に門脈とだけいうことも多い。
門脈を流れるのは静脈血で酸素をそれほど多く含まないので、門脈はその臓器の機能のための物質輸送を担う機能血管で、酸素を主として供給する栄養血管が別にあることもある。
肝門脈の略称 †
肝門脈でこの項目を参照しています
肝門脈とは、胃、小腸、大腸の一部、脾臓、膵臓などの中を毛細血管として通過した血液が集められる静脈のこと。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 肝門脈 | かんもんみゃく |
日本語 | 医学 | 門脈 | もんみゃく |
英語 | hepatic portal vein | ヘパティック・ポータル・ヴェイン | |
portal vein | ポータル・ヴェイン | ||
ラテン語 | vena portae hepatis | ウェナ・ポルタエ・へパティス | |
vena portalis | ウェナ・ポルタリス |
肝門脈はその後、肝臓に入って枝分かれし、再び毛細血管となる。この血液はあまり酸素を含まないので、肝臓の細胞に酸素を供給するために、別の動脈(肝動脈)が肝臓に入る。つまり、肝臓には肝門脈と肝動脈と2系統の血液が流入する。肝門脈は、肝臓の機能のための血管で、小腸で吸収された栄養を肝臓で貯める、消化器で吸収された毒物を肝臓で分解する、膵臓のランゲルハンス島のホルモン(グルカゴンなど)を肝臓に送る、脾臓で分解された赤血球からのビリルビンを肝臓に送る、などの機能を持つ機能血管である。