大動脈

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 大動脈とは、

  1. 解剖学的には、心臓から全身に酸素を送る血液が、心臓を出て最初に通る血管の部分の名前。体に1本しかない。
  2. 血管の太さと血管壁の構造に関する、組織学的な分類では、もっとも太い種類の動脈のこと。上の1.の意味の大動脈以外にも、そこから枝分かれするたくさんの動脈などもこれに含まれる。→ 弾性動脈を参照
  3. 日常的な意味では、流れる血液が多くて、傷つけたら大量の血液が流れ出してしまいそうな、太い動脈のこと。
目次
 

解剖学での大動脈

 大動脈とは、体の中でもっとも太い血管心臓から全身に酸素を送る血液が、心臓を出て最初に通る血管の部分の名前。体に1本しかない。なお、心臓から直接出る血管には、大動脈以外にもあとひとつ、肺動脈がある。

言語表記発音、読み方
日本語医学大動脈だいどうみゃく
ラテン語・英語aorta(英語読み)エィーゥタ
(ラテン語読み)アオルタ

 心臓の左心室からはじまり、心臓を出るとまず上に向かい、すぐにぐるっと弧を描いて方向転換し、下に向かってまっすぐ進む。上に向かう部分を上行大動脈(じょうこうだいどうみゃく)、弧を描いて下向きに方向を変える部分を大動脈弓(だいどうみゃくきゅう)、下に向かって進み、腰のあたりの高さまで下がる部分を下行大動脈という。下行大動脈は、胸の中(胸腔)を通過する部分と、腹の中(腹腔)を通過する部分に分けることができるので、それぞれを胸大動脈腹大動脈ともいう。

 大動脈弓の部分では、頭と首(頭頚部)、腕と手(上肢)に向かって進む血管が枝分かれし、下行大動脈の部分では、胸とおなかの内臓へ向かう枝が分かれ、下行大動脈の下の端では、あし(下肢)などに向かう血管に枝分かれして終わる。

 大動脈の壁は、動脈の中でも特に弾力性に非常に富んでおり、心臓から直接送り出される血液の圧力を受け止めることができる。大動脈が心臓の左心室からでたばかりのところには、逆流防止の弁、大動脈弁がある。大動脈を流れる血液は、肺静脈を通って肺から心臓の左心房に戻ってきた血液で、酸素を多量に含んでいる血液(動脈血)。

血管壁の分類の大動脈

詳細は弾性動脈の項目にあります

 大動脈とは、組織学で、血管の太さと壁の構造の特徴を分類したときのタイプの1つで、動脈のうちで、もっとも太いタイプのこと。心臓から高い圧力を直接受けるため、高圧に耐えられるようにゴムホースのように弾力性に富んでいる。弾性動脈という呼び方が一般的。

言語表記発音、読み方
日本語医学大動脈だいどうみゃく
弾性動脈だんせいみゃく
英語large arteryージ・ーテリー

日常的な意味での太い動脈

 大動脈とは、日常的な意味では、太い動脈をみな指すことがある。解剖学的な大動脈と、そこから直接分かれる枝の動脈などが相当する。

言語表記発音、読み方
日本語医学大動脈だいどうみゃく
英語large arteryージ・ーテリー
main arteryイン・ーテリー

カテゴリー: 循環器系 | 心血管系 | 血管 | 胸部 | 腹部

 
 

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