輸卵管
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
詳細は卵管の項目にあります
輸卵管とは、卵管のこと。輸卵管という言葉は医学の分野ではあまり使われないが、生物学ではよく使われており、特に哺乳類以外の動物ではよく使われる。逆に、医学以外では卵管はあまり使われない。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 卵管 | らんかん |
ファローピウス管 | ファローピウスかん | ||
ファロピーオ管 | ファロピーオかん | ||
医学以外 | 輸卵管 | ゆらんかん | |
一般 | 喇叭管、ラッパ管 | らっぱかん | |
英語 | oviduct | オヴィダクト | |
uterine tube | ユーテライン・テューブ | ||
fallopian tube Fallopian tube | ファロゥピアン・テューブ | ||
英語・ラテン語 | salpinx | サルピンクス | |
ラテン語 | tuba uterina | テュバ・ウテリナ |
※ 各用語の解説は、卵管を参照 |
動物の種類による輸卵管の違い †
「輸卵管」として指すものが、哺乳類とそれ以外の動物では違う †
哺乳類以外の輸卵管と、哺乳類の輸卵管は定義がちょっと違っている。哺乳類以外のニワトリやヘビ、カエル、魚、貝、昆虫などの多くの動物では、卵巣で卵が作られた後、卵を体外まで運ぶ管全体を輸卵管という。哺乳類でこれに対応する部分を考えると、「卵管+子宮+膣」である。しかし実際には、哺乳類の子宮や膣には卵は通らないし(出産時に赤ん坊が通る)、構造も大きく異なるので、子宮や膣を除いた部分を(狭い意味での、あるいは普通の意味での)輸卵管(卵管)という。
つまり、哺乳類の輸卵管(卵管)は、それ以外の動物の輸卵管の一部だけからできている部分である。
両生類と魚類を境にして、輸卵管の「由来」が違う †
両生類とそれよりもヒトに近い動物群(爬虫類、鳥類、哺乳類)では、輸卵管のもとになっているのは、女性生殖器系の元になっているミュラー管(中腎傍管)である。魚類やそれよりもヒトから遠い動物群(無脊椎動物;ウニ、貝、昆虫、ミミズ…)ではミュラー管由来ではない。