閉鎖卵胞
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
閉鎖卵胞とは、卵巣にあるたくさんの卵胞のうち、発育が止まってしまった大部分の卵胞のこと。卵巣で発育をはじめたたくさんの卵胞のうち、最終的に成熟して排卵するのはごくわずかで、それ以外はみな途中で発育がとまる閉鎖卵胞である。卵胞が発育を止めることを卵胞閉鎖という。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 閉鎖卵胞 | へいさらんほう、へいさらんぽう |
英語 | atretic follicle | アトレティック・フォリクル | |
ラテン語 | folliculus atreticus | フォリクルス・アトレティクス |
卵巣から排卵される卵は、卵巣では卵胞の中で育つ。女性の卵巣内ではたくさんの卵胞が休眠しているが、毎月、何十個かの卵胞が成長を始め、約1年かけて大きく発達した成熟卵胞(グラーフ卵胞)になり、成熟卵胞内の卵が卵巣外に放出されるのが排卵である。このとき、成長を始めた何十個かの卵胞のうち、実際に排卵する卵胞は毎月1個だけ(左右の卵胞のどちらかで1個)で、残りのすべては1年間の発育の途中のどこかで成長が止まり、壊れていく。発育を止めた卵胞を閉鎖卵胞という。つまり、卵巣にはたくさんの閉鎖卵胞が含まれるのが正常である。
閉鎖卵胞のその後 †
閉鎖卵胞では、卵胞の壁を作っている顆粒層(顆粒膜)の細胞と卵細胞がくずれて死んでしまうため、卵胞膜の中には卵胞腔だった空洞が残る。ここに外からマクロファージなどが入り込んで死んだ細胞を食べたり、線維芽細胞が入ってきて線維をつくることで白体に似た線維状のかたまりとなり、最終的には卵巣組織に吸収されてしまう。