マクロファージ
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
マクロファージとは、体中の組織にいて、異物を「食べる」細胞。「食べる」とは、接触した異物を包みこんで細胞内に取り込んで消化、処理すること。この作用をどん食作用(ファゴサイトーシス)という。また、自分が食べたものの抗原提示(異物を消化してできた蛋白質の断片を自分の細胞膜上に張り付けてT細胞に攻撃対象を伝える)もおこなう。免疫系の重要な役割をになう細胞。マクロファージを直訳して、大食細胞とも呼ばれる。略語はMφ。M は macro の頭文字、φ(ファイ)はファージの略語。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | マクロファージ | |
大食細胞 * | たいしょくさいぼう | ||
組織球 ** | そしききゅう | ||
英語 | macrophage | マクロフェイジ | |
histiocyte ** | ヒスティオサイト | ||
略語 | Mφ | ( - )*** |
* | 大食細胞は、macrophage の訳 |
** | 組織球は、histiocyteの訳で、マクロファージが血液中にいる時の名前、単球に対応した呼び方 |
*** | 「Mφ」は書くときだけで、これを読むときは「マクロファージ」と発音する |
マクロファージの分布 †
マクロファージは、おもに組織内にとどまっている時の名前。組織球ともいう。アメーバのように移動することもできる細胞で、血液の流れにのって、血球(血液細胞)として移動するときの名前は、単球(モノサイト)。組織で炎症がおこると集まってくる。
マクロファージがたくさんいる臓器には、脾臓、リンパ節、胸腺などのリンパ系器官や肺などがある。とくに脾臓では古い赤血球が処理されるとき、マクロファージに食べられる。肺では空気中のゴミなどを食べて処理する。その他、肝臓の類洞内にいるマクロファージはクッパー細胞と呼ばれる。
脳や脊髄などの中枢神経系の中だけにいるマクロファージに近い細胞は、ミクログリア(小膠細胞)。