脚 のバックアップ(No.2)
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
脚とは、いくつかの意味で用いられることがある。使い方が面倒なので、最後の使い方のとき以外は別の言葉を使うのがよい。
下肢に関係する部位名として †
「あし」の部分を指すことばとして使われる。ただし、あしのどの部分を指すかが場合によって異なることがあるので、あしを指すときには、使いにくい言葉。
「あし」全体 → 下肢を使う †
脚とは、あし(下肢)全体を指す言葉。これがどちらかというと普通の使い方。
を全部あわせたものを脚と呼ぶ。この用法で使いたいときには、おなじ「あし」全体を指す下肢を使ったほうがよい。
* 股関節から先の自由に動く部分だけをさすときに使う言葉。股関節よりも胴体(体幹)側の部分には、下肢を支える骨が下肢帯をつくっている。広い意味での下肢はそっちも含む ** 解剖学では、下肢の意味で「あし」といわないほうがよい。足(あし)といえば、足首から先の部分だけのことを指す *** 動物の上肢、下肢は、前肢、後肢という。ヒトでは前肢、後肢は使わない † 「自由下肢」に対応する英語 | |||
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 下肢 | かし |
自由下肢* | じゆうかし | ||
一般 | 脚、肢** | あし | |
動物 | 後肢*** | こうし | |
英語 | lower limb | ロワー・リム | |
free part of lower limb† | フリー・パート・オブ・ロワー・リム |
すねの部分だけを指す → 下腿を使う †
この場合の脚とは、下肢全体を、太もも、すね、足と区分けしたときの、すねの部分を指す。どちらかというと特殊で厳密な使い方。すねの部分をさす言葉には、下腿という用語があるので、そちらをつかったほうがよい。
* むこうずね(向こう脛) *2 ふくらはぎ(脹脛) *** 脚、leg は下腿を指す言葉だが、下肢全体をさすこともある | |||
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 下腿 | かたい |
一般 | 脛、臑* | すね | |
脛** | はぎ | ||
脚*** | あし、きゃく | ||
英語 | crus | クラス | |
leg*** | レッグ |
あしのような形の構造 †
「あし」のような形をした構造に対して、「~脚」という名前がつけられていることがある。「あし」の形とは、なにかの構造の下端が、2つに分かれて足を踏ん張るようになっている様子をさす。
* おもに、脳の構造の名前で使う | |||
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 脚 | きゃく |
英語 | limb | リム | |
peduncle* | ペダンクル | ||
英語・ラテン語 | crus | (英語読み)クラス (ラテン語読み)クルス | |
ラテン語 | pedunculus* | ペドゥンクルス |
具体例としては、
- 右脚(うきゃく)、左脚(さきゃく)、横隔膜(おうかくまく)の~
- 右脚(うきゃく)、左脚(さきゃく)、房室束(ぼうしつそく、ヒス束)の~
- 前脚(ぜんきゃく)、後脚(こうきゃく)、内包(ないほう)の~
- 陰茎脚(いんけいきゃく)
- 小脳脚(しょうのうきゃく)
- 大脳脚(だいのうきゃく)