ハムストリングス のバックアップ(No.2)

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 ハムストリングスとは、またはハムストリング筋とは、大腿の後ろ側にあるいくつかのをまとめて呼ぶ名前。大腿後面の筋のうち、その筋の下側の腱が膝の裏(膝窩)の横を通り(=膝窩腱)、すねの骨(脛骨腓骨)についているもの。を曲げるのに働くため、医学・解剖学では、大腿部膝屈筋膝屈曲筋大腿屈筋などの呼び名がふつう。

 もともと、英語の hamstring (ハムストリング)とは膝の裏(膝窩)の横を通る(=膝窩腱)のこと。これらの腱につながる大腿後面の筋を hamstring muscles (ハムストリング筋)と呼んでいたが、現在は意味が変わり、hamstrings (ハムストリングまたは複数形にしてハムストリングス)だけでもこれらの筋そのものを指すようになった。日本語では医学・解剖学用語というよりも、トレーニングなど、様々な分野で慣用的に使われるようになった言葉。

 ハムストリングスには、ふつう膝の裏を通る腱(膝窩腱)をつくるが含まれるが、どの筋を指すのかには何通りか考え方があるらしい。かならず含まれるのは、半腱様筋半膜様筋大腿二頭筋長頭の3つ。これらは坐骨結節からおきて脛骨腓骨に付くので、股関節と膝関節の2つを越える二関節筋で、どれも脛骨神経の支配を受けるのが共通点。これに、大腿二頭筋の短頭(大腿骨から起こり腓骨に付く、総腓骨神経支配)を加えることが多く、さらに薄筋縫工筋など、内側の膝窩腱をつくるも含まれることもある。一方、膝の裏を通る腱をつくらないが、半腱様筋半膜様筋大腿二頭筋長頭と同じく脛骨神経の支配を受ける大内転筋を含める場合もあるらしい。

 英語の ham の昔の意味は、動物のあしの途中の曲がったところ、つまり膝やかかとのことだった。その場所にある string (ひも、楽器の弦、弓のつる、腱の昔の言い方)には膝窩の腱やアキレス腱などがある。これらがもともとの hamstring。
 
 

<ご注意> 『1年生の解剖学辞典』は、解剖学を学んでいる人によって書かれているはずですが、間違いがあるかもしれません。内容はかならず教科書その他で確認してください。また間違いをみつけたら「編集」から直していただくか、「ノート」にコメントを残していただけるとうれしいです。
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