肥満細胞 のバックアップ(No.3)

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 肥満細胞とは、マスト細胞とも呼ばれる免疫系細胞で、ヒスタミンを分泌してアレルギー反応を起こす細胞。細胞質内にはヒスタミンなどを含む顆粒を大量に含んでいる。骨髄造血幹細胞からつくられる血球系の細胞で、全身の皮膚皮下組織やそれ以外の粘膜内や粘膜下組織などの結合組織に散らばって、または集まっている。

 アレルギー反応は、IgE(免疫グロブリンE)の放出がきっかけでおこる。肥満細胞はIgEの受容体をたくさんもっていて、IgEに反応して、細胞内の顆粒からヒスタミンヘパリンなどを細胞外に放出し、炎症を引き起こす。

 マスト(mast)とは、森の地面にドングリなどの木の実がたくさん降り積もったものを指すことば。ここから、ドングリなどをたくさん含んだ(ブタに出荷前に食べさせる)肥育用のエサを指すことばになり、家畜の肥育を指すことばになった。肥満細胞(マスト細胞)の由来は、細胞内に(どんぐり入りのエサのような)顆粒がたくさん詰まっていて、細胞がまるまると太っていることから来ている。
 肥満細胞が人間を太らせたり肥満の原因になったりするわけではない。また、細胞内に脂肪を蓄えている脂肪細胞のように、太っている人に肥満細胞が多いわけでもない。肥満細胞という名前がまぎらわしいのが誤解のもとなので、マスト細胞や顆粒細胞という呼び方が使われるようになってきている。

 
 

<ご注意> 『1年生の解剖学辞典』は、解剖学を学んでいる人によって書かれているはずですが、間違いがあるかもしれません。内容はかならず教科書その他で確認してください。また間違いをみつけたら「編集」から直していただくか、「ノート」にコメントを残していただけるとうれしいです。
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