ミエリン鞘
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
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ミエリン鞘とは、髄鞘とも呼ばれ、神経の情報を伝える神経線維のまわりを取り巻いているさやのこと。ミエリン鞘が取り巻いている神経線維を、有髄神経線維という。
神経線維の周りに、ミエリン鞘を作る細胞の細胞膜が密着し、細胞質をほとんど含まない細胞膜だけの層が何重にもぐるぐる巻きになって取り巻いている。ミエリンとは、細胞膜のような脂質の層が何層もつみかさなっているもののこと。その主成分は、スフィンゴミエリンなどのリン脂質。これがあるところは、跳躍伝導の仕組みが働き、神経線維を通る興奮伝導のスピードが飛躍的に高まる。
ミエリン鞘をつくる細胞は、中枢神経系ではグリア細胞の一種(希突起グリア細胞)で、末梢神経系では、シュワン細胞である。なお、末梢神経ではミエリン鞘で包まれない神経線維でも、シュワン細胞によって取り巻かれていることが多く、これはシュワン鞘と呼ばれる。これは神経線維を包むシュワン細胞がミエリン鞘のようにぐるぐる巻きにならず、絶縁効果もないため、跳躍伝導で神経伝導速度が上がることもない。シュワン鞘にだけ包まれる神経線維は無髄神経線維に分類される。