弾性線維
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
弾性線維とは、結合組織にある線維のひとつで、体内では弾力性の必要な箇所に多く存在し、たとえば、血管(とくに動脈の中膜)、気道(とくに声帯や肺胞)、皮膚(とくに真皮や皮下組織)などに多い。弾性線維の主成分はエラスチンというタンパク質なのでエラスチン線維ともいう。また、肉眼で見ると黄色っぽい色をしているので、黄色線維ともいう。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 弾性線維、弾性繊維* | だんせいせんい |
エラスチン線維、エラスチン繊維* | エラスチンせんい | ||
黄色線維、黄色繊維* | おうしょくせんい | ||
弾力線維、弾力繊維* | だんりょくせんい | ||
英語 | elastic fiber | エラスティック・ファイバー | |
elastin fiber | エラスティン・ファイバー | ||
yellow fiber | イエロウ・ファイバー |
弾性線維は、I型コラーゲン線維よりも細いが、弾力性が非常に強いのが特徴。弾性線維は引っ張られると長さが1.5倍にのびて、引っ張る力がなくなると元に戻る。弾性線維の主成分は、エラスチンという線維状のタンパク質で、エラスチンの間には、フィブリリンという別のタンパク質でつくられる細線維(またはミクロフィブリル)がある。エラスチン分子が互いに架橋して立体構造を作っていて、引っ張られるとエラスチンがまっすぐにのびるが、その力がなくなるともとの立体構造に戻る。
マルファン症候群では、フィブリリンの遺伝子異常のために正常なフィブリリンが作られず、弾性線維に弾力性がない。
軟骨には、弾性線維をたくさん含むタイプのものがあり、弾性軟骨と呼ばれている。コラーゲン線維を主に含む硝子軟骨(ガラス軟骨)よりも弾力性に富んでいる。