腸腺
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
腸陰窩、リーベルキューンの陰窩、リーベルキューン腺でこの項目を参照しています
腸腺とは、腸(小腸と大腸)の管の内側の表面の粘膜に無数にある、目に見えないサイズの細かいくぼみのこと。「腺」という名前がついているが、それほど特別なものを分泌しているのではないらしい。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 腸腺 | ちょうせん |
腸陰窩 | ちょういんか | ||
リーベルキューンの陰窩* リーバーキューンの陰窩 | リーベルキューンのいんか リーバーキューンのいんか | ||
リーベルキューン腺* リーバーキューン腺 | リーベルキューンせん リーバーキューンせん | ||
英語 | 複数 | intestinal glands**,*** | インテスティナル・グランズ |
intestinal crypts**,† | インテスティナル・クリプツ | ||
Lieberkühn's glands**,‡ Lieberkuhn's glands | リーバークーンズ・グランズ | ||
Lieberkühn's crypts**,‡† Lieberkuhn's crypts | リーバークーンズ・クリプツ |
* リーベルキューン(リーバーキューン)は、ヨハン・リーベルキューン Johann Lieberkühn (Lieberkühn)の名前から ** ごく小さな腺が密集しているので複数形で扱うことが多い *** 腸腺に対応 † 腸陰窩に対応 ‡ リーベルキューンの陰窩に対応 ‡† リーベルキューン腺に対応 |
腸腺は、小腸と大腸の粘膜上皮(粘膜の表面を覆っている上皮)(単層円柱上皮)が管のように細く窪んでできている。内部で枝分かれなどはあまりなくまっすぐに腸の外側方向にのびる。腸腺の底は、粘膜の一番外側に当たる粘膜筋板に接するところまでのびている。
- 腸腺の上皮をつくっている細胞は、それ以外の部分の粘膜上皮と同じ構成。微絨毛の生えた円柱型の吸収上皮細胞と杯細胞がある。杯細胞からは粘液が分泌されるので、これは腸腺の分泌物といえる。
- 大腸の腸腺には特に杯細胞が多く、粘液分泌が盛ん。
- 十二指腸では、腸腺の底に十二指腸腺(ブルンネル腺)が開口しているので、腸腺は、十二指腸腺の導管も兼ねている。
- 小腸では、腸腺の底の上皮細胞には、細胞質に大型の顆粒を含む細胞がある。これはパネート細胞と呼ばれる。