錐体路 のバックアップ(No.5)
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
錐体路とは、中枢神経系にある神経伝導路(伝導路)のひとつで、筋の運動をおこす指令を、大脳皮質から脳幹や脊髄の決まった場所に伝える役割がある。脳幹や脊髄のその場所には、運動ニューロンの神経細胞体があり、このニューロンの神経線維は中枢神経(脳や脊髄)を出て、筋まで到達する。つまり、大脳皮質の運動の指令が筋に伝わるまでの情報の流れのうち、前半の中枢神経内の部分をになう伝導路が錐体路である。
筋の運動を起こす刺激をつたえるので「運動性の伝導路」に含まれ、大脳皮質から脳幹、脊椎へと脳内の上方から下方に情報を伝えるので、下行性の伝導路に含まれる。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 錐体路 | すいたいろ |
英語 | pyramidal tract | ピラミダル・トゥラクト | |
ラテン語 | tractus pyramidalis | トゥラクトゥス・ピラミダリス |
錐体路の名前は、この伝導路の主な部分が、延髄にある「錐体」という部位を通過するから。大脳皮質の錐体細胞とは別。
錐体路には、大脳皮質に神経細胞体があり、その神経線維が脳幹や脊髄まで直接とどく。1本の神経線維が長いニューロンでできている。錐体路のうち、神経線維の行き先が脊髄のものを「皮質脊髄路」、脳幹のどこかでおわるものを「皮質核路」という。皮質脊髄路は首から下の筋の運動、皮質核路は首から上の筋の運動を起こす。
- 皮質核路の線維では、脳幹のなかで延髄よりも大脳の近くで終わるものもあるので、その場合、錐体路とは言いながら、実際には延髄の錐体を通らないこともある。 - 皮質脊髄路だけを指して「錐体路」と呼ぶ使い方をすることもある |
脳幹や脊髄の運動ニューロンに、運動をおこす情報を伝える経路には錐体路以外にも、いくつかある。錐体路以外をまとめて錐体外路系として扱うことがある。