大脳皮質

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

関連する内容は、大脳新皮質にあります

 大脳皮質とは、大脳皮質、つまり大脳の表面を形づくっている層のこと。厚さ数mmほどの薄い層で、灰白質からできていて、神経細胞体が層状に配列している。ヒトなどの一部の動物の大脳皮質は、視覚、聴覚、皮膚知覚などの感覚を認識する場所や、骨格筋の随意運動をおこす場所などのほか、意識的に考えたり、判断したりといった高度な精神的な活動を行う場所だと考えられている。

言語表記発音、読み方
日本語医学大脳皮質だいのうひしつ
英語cerebral cortexレブラル・ーテクス
ラテン語cortex cerebriコルテクス・ケレブリ

大脳皮質の種類

 構造や発生過程での発達の仕方から大脳皮質はいくつかにわけられる。

分類基準大脳皮質
形成のされ方による分類古皮質原皮質新皮質
構造による分類不等皮質等皮質

 ヒトの大脳表面の大部分を占めるのは新皮質で、その周囲にある比較的狭い領域に、より原始的で古い古皮質原皮質がある。最も原始的な動物にも発達する古皮質には嗅脳扁桃体などが含まれ、次に古い部分である原皮質には海馬などが含まれる。においの情報を鼻から受け取る役割をもつ嗅脳以外の古皮質と原皮質の領域は、全体としてまとめて大脳辺縁系と呼ばれる。気持ちや感情の動きを支配する場所。

 大脳皮質の層構造の様子から、どこでもほぼ均一な層構造を示す等皮質と、場所によって構造が変化に富む不等皮質とを区別する区分もあるが、等皮質が新皮質に、不等皮質が古皮質と原皮質にちょうど対応している。

- 古皮質は paleocortex の訳、原皮質は archicortex の訳だが、教科書、辞典によっては古皮質の代わりに原皮質、原皮質のかわりに旧皮質という言葉が使われることもあるので注意が必要

大脳の外形と大脳皮質

 全体として球形に近い形をしていて、下部で脳のほかの場所(小脳脳幹など)と接続されている。左右の中心(=正中)には前後方向に深い溝(=大脳縦裂)があり、大脳はこれにより左右の部分に分かれている。これを左右の大脳半球という。これ以外にも、大脳の表面には大小のしわ(、コウと呼ぶ)が多く走っている。特に大きいしわを境として、大脳はいくつかの部分に区分できる。それらの区分を大脳葉といい、左右の大脳半球それぞれが4つずつの大脳葉、前頭葉頭頂葉側頭葉後頭葉に分けられる。

 大脳では、神経細胞体が密に並ぶ灰白質は、大脳の表面の数 mm だけで、その内側は、それらの細胞どうしをつなぐ神経線維がびっしりと走っている白質である。大脳の表面の灰白質の層を大脳皮質、その内側の白質を大脳髄質という。

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