胸神経 のバックアップ(No.1)
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
胸神経とは、末梢神経のひとつで、脊髄から出る脊髄神経のうち、胸椎を通って出てくるもの。第1胸神経から第12胸神経まで、あわせて12対ある。主として体幹(胴体)を支配している。胸神経の前枝は、脊髄神経の前枝としては例外的に神経叢をつくらない。肋間神経(と肋下神経)は、胸神経の前枝から出る。
胸神経の前枝が支配する筋は、肋間筋などの胸壁の筋や腹直筋などの腹壁の筋。後枝が支配している筋は、固有背筋の胸部。胸神経の支配する皮膚の領域は、上肢から下の体幹で、前面、側面では下腹部まで、後面では背部の胸壁に相当する場所。また、脊髄を出る胸神経には内臓や血管、皮膚などの働きを調節する交感神経が含まれ、交感神経はその後に分かれて交感神経幹へ向かう。
第1胸神経は、第1胸椎と第2胸椎の間の椎間孔から出る。以下、すべての胸神経は同じ番号の胸椎の下から出る(例えば、第4胸神経は、第4胸椎の下から出る)。一番下の第12胸神経は、第12胸椎と第1腰椎の間から出る。
胸神経の前枝から、肋間神経が分かれる。肋間神経は、肋間動脈、肋間静脈と一緒に肋骨の下縁を通る。第1胸神経から第1肋間神経が分かれ、第1肋間神経は第1肋骨の下縁を通る。ただし、一番下の第12胸神経から分かれるのは第12肋間神経とは呼ばず、肋下神経という。肋下神経は第12肋骨の下縁を通る。
胸神経が出る脊髄の部分を胸髄という。胸神経の上からは頚神経が、胸神経の下からは腰神経が出る。