パネート細胞
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
パネート細胞とは、小腸の粘膜にある細胞のひとつで、小腸の内側に抗菌物質を分泌し、小腸からの細菌の侵入をふせぐ細胞。パネート細胞は小腸の粘膜の上皮の細胞で、小腸の上皮がくぼんだ腸腺(陰窩)の一番底にある。パネート細胞の分泌する物質は、ディフェンシンやリゾチーム。パネート細胞を染色標本を顕微鏡でみると、細胞質内に大きな分泌顆粒が見えるので区別できる。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
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日本語 | 医学 | パネート細胞 * | パネートさいぼう |
英語 | Paneth cell * | パーネット・セル | |
granule cell of Paneth * | グラニュール・セル・オブ・パーネット |
* | パネート Paneth とは、この細胞を見つけた、19世紀オーストリアの生理学者 ヨーゼフ・パーネト Joseph Paneth のこと |
小腸の内側を覆う粘膜上皮には絨毛という突起と腸腺(陰窩)という深いくぼみがびっしりと並ぶ。上皮細胞は腸の内側の栄養素を吸収する細胞だが、陰窩の底にはこの細胞が変化したパネート細胞が集まっている。パネート細胞から分泌されるディフェンシンやリゾチームは腸内にいる細菌を攻撃する。
小腸は、胃に近い側から十二指腸、空腸、回腸に分かれるが、パネート細胞が見られるのは十二指腸と空腸が中心。