上腹部
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
上腹部とは、腹部の上の方を示す言葉で、解剖学的にはみぞおちと同じ場所を指し、一般にはその左右の領域も含めて指すことがある。
目次 |
解剖学的な「上腹部」 †
上腹部とは、または、心窩部とは、体の場所の名前のひとつで、腹部に含まれる部位名。一般にはみぞおちと呼ばれている場所。腹部の上部のうち、中央付近の肋骨に囲まれていないところを指す。上腹部の皮膚の下にある筋(腹壁をつくる筋)は腹直筋。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 上腹部 * | じょうふくぶ |
上胃部 * | じょういぶ | ||
心窩部 ** | しんかぶ | ||
一般 | 鳩尾 | みぞおち、みずおち | |
英語 | epigastric region * | エピガストゥリック・リージョン | |
英語・ラテン語 | epigastrium * | (英語読み)エピガストゥリアム (ラテン語読み)エピガストゥリウム | |
ラテン語 | regio epigastrica * | レギオ・エピガストゥリカ |
* | epigastric, epigastium の gaster はギリシャ語の「腹」または「胃」の意味で、epi- はそのすぐ上にあることを表す。その訳語として上腹部、上胃部があるが、上腹部のほうがよく使われる |
** | 心窩(心臓の位置のくぼみ)に対応する英語・ラテン語の呼び方はないが、くぼんでいることを示す言い方には、pit of the stomach, epigastric fossaなどもある |
図:上腹部の位置と腹部の区分 *1 腹部は9つのブロック(図の点線)に区分けされていて、上腹部はその上部中央にある |
解剖学ではおなかの部位を縦3×横3の9つのブロックに分けている。上腹部(心窩部)はそのうちの上部の中央にある1ブロックである。上腹部の左右は下肋部(季肋部)で、上腹部の下には臍部、その左右には側副部がある。上腹部の上の境界線は腹部と胸部の境界でもあり、体内で横隔膜のある高さ。体表では胸骨の下端から水平に引いた線となる。下にある臍部との境界線は左右の肋骨の下端をまっすぐ結んだ線。
上腹部とその両側の下肋部との境界は、肋骨の下縁がななめに走っている線で、下部では腹直筋の左右の境界のあたり(定義としては、左右それぞれの鎖骨の中央部からまっすぐ下におろした線とか、左右それぞれの鼠径靭帯の中央部から上に伸ばした線など)。つまり、上腹部は肋骨で覆われている部分を含まない。一方、下肋部は下部のわずかな部分以外の大部分が肋骨で覆われている。
一般的な「上腹部」 †
解剖学的な区分とは別に、腹部を上中下3つに分けたときの上3分の1を上腹部ということがある。解剖学とは違って、一般的には肋骨のあるところは腹部に含めないので、解剖学的な上腹部に、下肋部の下の一部を加えた場所となる。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 一般 | 上腹部 | じょうふくぶ |
英語 | upper abdomen | アッパー・アブドメン |
*1 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本
*2 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本