濾胞
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
関連する内容が小胞の項目にもあります
濾胞とは、小さな球形の構造のこと。「胞」は内腔(内側の空洞)があるときにつかわれる言葉で、一般には多数の細胞が集まって周囲の壁を作っている袋状の構造。ただし、内側に空洞がないものでも濾胞と呼ぶ場合もある。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 濾胞、沪胞* | ろほう |
小胞** | しょうほう | ||
英語 | follicle(s) | フォリクル(ズ) | |
形容 | follicular | フォリキュラー | |
ラテン語 | 単数 | folliculus | フォリクルス |
複数 | folliculi | フォリクーリ |
「濾胞」といえば、甲状腺濾胞がもっとも有名か。
代表的な濾胞 †
濾胞という呼び名が使われる代表的な構造には、下のようなものがある。
- 甲状腺の濾胞
- → 甲状腺濾胞のこと。甲状腺の内部に無数にある、細胞が集まってできた小型で球形の袋のこと。甲状腺ホルモンを合成、分泌する場所。thyroid follicle サイロイド・フォリクル。
- リンパ球の集まりの濾胞
- → リンパ濾胞はリンパ小節の別名。リンパ濾胞(リンパ小節)はリンパ球などがびっしりと詰まった球状のかたまり。内部にも細胞がつまっていて、空洞はないが、内部に胚中心と呼ばれる明るい部分があることが多いので、「濾胞」とみなすことがある。胚中心のないものを一次濾胞(一次[リンパ]小節)、胚中心のあるものを二次濾胞(二次[リンパ]小節)という使い方もする。リンパ濾胞は lymphatic follicle リンファティック・フォリクル、リンパ小節は lymphatic nodule リンファティック・ノーデュール。
- 卵巣の濾胞
- →卵胞 ovarian follicle のこと。卵巣にあって、細胞が集まって卵細胞をつつんでいる球状の構造。小さいうちは内部に空洞はないが、大きく発達してくると空洞(卵胞腔)ができる。学問分野によっては卵胞のことを濾胞と呼ぶ場合もあるが、医学関係では卵胞を使う。これに関連して、濾胞(卵胞)から放出されるホルモンを、濾胞ホルモン(卵胞ホルモン)、濾胞に働きかけるホルモンを濾胞刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン)という。
- 毛の濾胞
- →毛包(毛嚢)のこと。皮膚にあって、毛の根元の毛根部を囲んでいる細胞層のこと。毛包のことを直接「濾胞」と呼ぶことはあまりないのだが、毛包がもとになってできた病変に対して、濾胞性~(follicular ...)という名前で呼ぶことがあるため、ここに加えた。