耳
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
解剖学でいう耳とは、体の外側から見える部分だけでなく、その奥にあって、頭蓋骨に埋まっている構造まで合わせて呼ぶ。大きく分けると、体表に近い部分から、外耳、中耳、内耳の3つの部分からできている。音を聞くためと、体の向きや動きを捕らえる、2種類の感覚器である。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
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日本語 | 医学 | 耳 | みみ、じ |
英語 | ear | イアー | |
ラテン語 | auris | アウリス |
日常生活で使う「耳」は、このうち、外耳に相当する。外耳は、頭部から飛び出している耳の部分(=耳介)や耳の穴(=外耳道、耳道)までをさす。その奥にある鼓膜と、鼓膜の裏側にある鼓室という場所が中耳である。鼓室には、耳小骨という骨が並んで入っている。さらにこの奥が、頭蓋骨のひとつ、側頭骨に埋まっている部分で、内耳という。内耳には、うずまき状のくだである蝸牛と、ループ状のくだが組み合わさった、いわゆる三半規管などがある。これらからは、第8脳神経の内耳神経が起こり、脳の橋につながっている。
耳は、音を聞く、つまり聴覚の感覚器(=聴覚器)と、体の平衡感覚をとらえる感覚器(=平衡覚器)の2つの働きを持っている。音を聞くための器官としては、外耳、中耳、内耳がすべて関与し、外耳では、音を効率よく集める部分、中耳は空気の振動(音)を骨(耳小骨)の振動に変換する部分、内耳でこれを神経の興奮のシグナルへと変換する。一方、平衡感覚は内耳でとらえられ、神経に伝えられる。平衡覚とは、内耳のある頭部で感じている移動や回転のスピードや向きの変化(=ベクトル加速度)の情報である。