胸郭

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 胸郭とは、2つの意味で使われる。共通しているのは、内臓が入っている空間(=胸腔)を取り囲んで守っている壁という意味。胸の壁のなかで、

  • 肋骨など)でつくられている囲い、枠組み(=骨格)のことを指す場合と、
  • 骨格だけでなく筋肉肋間筋横隔膜など)も含めた壁全体を意味する場合とがある。
  • 胸郭によって守られている「胸腔」には、どういう器官がある?→ 「胸腔
目次
 

骨の枠組みのこと

言語表記発音、読み方
日本語医学胸郭きょうかく
英語thoracic cageシック・イジ

 胸腔を囲んでいる骨格のことを指す。胸郭を作っている骨は、胸の部分の背骨(胸椎)と、肋骨胸骨。胸椎が体の左右の中心(正中)の背中側の端にあり、胸骨は体の左右の中心の腹側の端にある。肋骨は、体の後ろ側の真ん中(胸椎)から前側の真ん中(胸骨)までを、弧を描くようにつなげている。胸椎と肋骨は関節をつくってつながっているが、肋骨と胸骨の間には、長い肋軟骨がはさまっている。

骨や筋がつくっている壁全体のこと

言語表記発音、読み方
日本語医学胸郭きょうかく
胸壁*きょうへき
英語thoraxーラックス
* 「胸壁」はあまり解剖学用語としてはあまり使わないかも

 胸郭をつくっている骨格のすきまや、骨格の外側などには、筋肉があり、胸の内臓を覆う壁をつくっている。肋骨の間をつないでいるのが肋間筋で、胸郭の下側の境界をつくっている筋が横隔膜である。

胸郭の運動

 胸郭の運動は呼吸の原動力となっている。胸郭をつくっている骨と筋は積極的に動いて、胸郭全体の大きさを変えることができる。これは呼吸のために必要な動きである。胸椎から胸骨までを弧を描いてつないでいる肋骨は、上下に角度を変えるように動くことができ、肋骨がみな上のほうにずれると、胸郭内の容積が増え、肋骨が下のほうに角度をずらずと、胸郭内の容積が減る。また横隔膜は、収縮すると胸腔を下側に広げ、弛緩すると腹腔から押されるので持ち上がり、胸郭内が狭くなる働きがある。これらが、肺を膨らませたり、しぼませたりして呼吸(胸式呼吸)を起こす原動力の一つになっている。

カテゴリー: 骨格系 | 運動器系 | 胸部

 
 

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