バソプレシン のバックアップ(No.2)

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 バソプレシンとは、またはバソプレッシンとは、下垂体後葉から分泌されるホルモンの名前。アミノ酸9コからなるペプチドホルモン。水分をより多く体内に保持しようとするホルモンで、その作用についてつけられた名前は抗利尿ホルモン抗利尿とは、利尿尿をつくるのを促進する)を抑える、という意味で、腎臓で尿がつくられる途中で尿から水分を再吸収させて、尿を濃くし、つくられる尿量を減らすことで体液の量を減らさないように、血圧が下がらないようにする作用がある。もうひとつの作用は、バソプレシンの名前(血管を(vaso)締め付ける(press))に表れていて、全身の血管を収縮させて血圧を上げる作用がある。

 バソプレシンはある神経細胞バソプレシンニューロン)から分泌される。バソプレシンは下垂体後葉ホルモンだが、バソプレシンニューロンの細胞体がある場所は下垂体後葉ではなく視床下部で、その軸索が下垂体後葉まで伸びている。血液に分泌されるのは神経終末のある下垂体後葉からである。神経細胞から、シナプスへの神経伝達物質ではなく、血液中にホルモンなどが分泌されることを神経分泌という。同じく下垂体後葉から分泌されるオキシトシンも神経分泌である。視床下部でバソプレシンニューロンの細胞体がある場所は、室傍核視索上核などの神経核である。

 ヒトをはじめとする哺乳類抗利尿ホルモンはバソプレシンだが、哺乳類以外の脊椎動物の抗利尿ホルモンはバソトシンという。同じ9コのアミノ酸からできているオリゴペプチドだが、3番目のアミノ酸の種類が違っている。

 
 

<ご注意> 『1年生の解剖学辞典』は、解剖学を学んでいる人によって書かれているはずですが、間違いがあるかもしれません。内容はかならず教科書その他で確認してください。また間違いをみつけたら「編集」から直していただくか、「ノート」にコメントを残していただけるとうれしいです。
 どのページにでも自由にリンクしてください。でも、このサイトの文を他の場所に転載(コピー・ペースト)しないでください(コピーした内容に間違いがあったとき、その間違いはその後このサイト上では誰かに修正されるかもしれませんが、あなたがコピーした先では間違ったまま残ってしまいます)。