メラニン色素
メラニン色素とは、または、メラニンとは、皮膚の細胞内などにたまる黒っぽい色をした物質で、水に溶けない不活性な高分子。光、特に体に有害な紫外線をさえぎる役割がある。皮膚や毛、眼球などに多い。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | メラニン色素 | メラニンしきそ |
メラニン | |||
英語 | melatin pigment | メラニン・ピグメント | |
melatin | メラニン |
細胞内で、アミノ酸のチロシンから、ドーパ(L-ドーパ、レボドパ)を経由してつくられる、インドール-5,6-キノンや5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸などが重合して高分子になったものをメラニンと呼ぶ。皮膚や毛、目などでは、人種によって、この反応の起こりやすさが違うため、メラニンの量が違うことが色の違いになる。この過程の途中の反応を起こす酵素が一部なかったりすると、メラニン色素ができない白皮症になる。
皮膚の表皮の細胞(ケラチノサイト、角化細胞)にはメラニン色素が含まれるが、このメラニン色素はメラノサイト(メラニン細胞)でつくられてから、この細胞に渡されたもの。紫外線はDNAを壊し、細胞に突然変異を生じさせる有害な光。光を浴びるとメラニン色素の合成が促進され、皮膚が黒っぽくなることで、紫外線をそれより奥に通しにくくする。毛も表皮の細胞が変化した細胞から作られる。ほくろはメラニン色素が他の場所よりも多い。
眼球では、眼球内に入る光の量を調節する虹彩や、眼球内で光が投影される網膜などに、色素上皮と呼ばれる細胞層がある。色素上皮の細胞には多量のメラニン色素が含まれ、虹彩が光を通さないように、網膜に当たった光が眼球内に反射したりしないようになっている。また、網膜の外側にある脈絡膜にもメラニンが豊富。
一部の神経細胞の細胞質にも、メラニン色素がたまる。これは、ドーパミン(ドパミン)、アドレナリン、ノルアドレナリンなどのカテコールアミンを神経伝達物質として使っている神経細胞(カテコールアミン・ニューロン)でおこる。ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンなどは、メラニンと同じくL-ドーパから作られるため、副産物としてメラニンもできてしまうため。中脳の黒質は、このために黒く見えることから名付けられた。