体腔
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
体腔とは、体の内部にある空洞で、胸部や腹部にある。一般的な用語としての体腔と、発生学的な説明に基づいた用語としての体腔では指す場所が異なり、2つの意味で使われる用語。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 体腔 | たいくう* |
医学以外 | たいこう* | ||
英語 | celom, coelom** | スィーロム | |
body cavity | ボディ・キャビティ |
* | 腔の読み方は、「腔」の項目に |
** | celom が米国式、coelom が英国式 |
一般的な用語として †
胸部や腹部の内臓が入っている場所、胸腔や腹腔のことを指す。胸腔の中には肺や心臓が、腹腔の中には胃や腸、肝臓、腎臓などの内臓がある。
発生学で定義された用語として †
胸部や腹部の臓器の外側にあるすき間の空間である、胸膜腔、心膜腔、腹膜腔のことを指す。胸膜腔は肺と胸壁の間にあり胸膜で覆われ、心膜腔は心臓のまわりの心膜に包まれ、腹膜腔は腹膜で包まれた空間。どの空間も漿膜という薄いすべすべした膜で覆われ、その内側には少量の液体(漿液)以外は何も含まれない。
この使い方は、発生学の用語としての体腔と同じ意味の使い方。発育中の胚では、外胚葉(体の外側に面する層)と内胚葉(腸の壁などの層)の間に中胚葉が侵入すると、そこに中胚葉の細胞層で囲まれた空間がつくられる。そこを体腔と呼ぶ。