体循環
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
体循環とは、または、大循環とは、体を通る血管のうち、酸素がたくさん含まれた血液(動脈血)を心臓から全身の器官へと送り、全身に酸素を供給してまた心臓に戻る血管系のこと。心臓の左心室から大動脈を通って送り出され、全身の毛細血管を通った後、大静脈などから心臓の右心房に戻るまでの一連の血管のこと。心臓を出て心臓の戻る血管系には、これ以外に、肺循環(小循環)がある。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 体循環 | たいじゅんかん |
大循環 | だいじゅんかん | ||
英語 | systemic circulation | システミック・サーキュレーション | |
greater circulation | グレイター・サーキュレーション |
心臓には血液を送り出す部屋が左心室と右心室の2つがあり、左心室には大動脈、右心室には肺動脈がつながっている。大動脈から全身に酸素を供給してきた血液は上大静脈、下大静脈、冠状静脈洞などから右心房に戻る。これが体循環で、肺動脈から肺に送られ、肺で酸素を補給してきた血液が左心房に戻るまでが肺循環である。右心房の血液は右心室に、左心房の血液は左心室に流れるので、血液は体循環(酸素の消費)と肺循環(酸素の補給)をかならず交互に流れるようになっている。
体循環は心臓から長い動脈を経て多くの器官に血液を送るため、心臓のすぐ近くにある肺に血液を送る肺循環に比べて、心臓から血液を送り出す圧力がずっと高い。また、体循環の動脈、毛細血管、静脈の長さは肺循環の血管よりもはるかに長く、大循環を流れている血液量は肺循環を流れている量の3倍程度である。