卵円孔
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
卵円孔とは、卵形をした穴の意味。「孔」は深いくぼみや、反対側とつながった穴のこと。卵円孔という名前のつけられた穴は、からだの中では、頭蓋骨や胎児の心臓にある。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 卵円孔 | らんえんこう |
英語 | oval foramen | オーヴァル・フォレイメン | |
ラテン語 | foramen ovale | (英語読み)フォレイメン・オヴェイリー (ラテン語読み)フォラメン・オウァーレ |
頭蓋骨の卵円孔 †
頭蓋骨の卵円孔は、頭蓋の内外をつなぐ穴で、頭蓋骨のひとつの蝶形骨にある。下顎神経(第5脳神経である三叉神経の第3枝)が通る穴。卵円孔がある場所は、頭蓋の内面では、脳に面した頭蓋の底面(内頭蓋底)にある中頭蓋窩というくぼみのなか。頭蓋の外面では蝶形骨の下面にこの穴があるが、その場所は下顎骨の下顎枝の内側の空間(側頭下窩という)で、すぐ近くには咀嚼筋群がある。咀嚼筋は下顎神経支配。
心臓の卵円孔 †
心臓の卵円孔は、胎児のときの心臓にある穴で、右心房と左心房の間にある壁(=心房中隔)に開いている穴。胎児では,血液は右心房から左心房へと流れる。その役割は、全身から右心房に戻ってきた血液を肺に送らず、大動脈からふたたび全身に送るための短絡路(近道)としてはたらく。同じ働きをする構造に、動脈管(ボタロー管)もある。心臓の卵円孔は生後にふさがり、卵円窩という浅いくぼみとして残る。