S状結腸
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
S状結腸とは、消化管のうちの大腸の一部の名前。大腸の大部分を占めているのは結腸だが、そのうちの最後の部分がS状結腸。下行結腸からつづき、直腸につながる。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | S状結腸 | エスじょうけっちょう |
英語 | sigmoid colon* | スィグモイド・コロン | |
ラテン語 | colon sigmoideum | コロン・スィグモイデウム |
* sigmoid は、S字型の意味。ただし、本来の "sigmoid" は、ギリシャ文字の sigma(シグマ、Σ)に、-oid (~のような)がついたもの。この場合のシグマは語中の Σ(大文字)、σ(小文字)ではなく、語末のシグマ ς のことで、その形は "C" にそっくり。つまり sigmoid は、本来は C字型の意味だった。これが、ローマ字でシグマに当たる "S" にも広がって、S字型をも指すようになった。ちなみに、S状結腸は、C字型、S字型のどちらと考えてもよいような形をしている |
下行結腸は、腹腔の左側の端にくっついて下に向かってすすむが、腸骨の上縁を超えて、骨盤の内側に入るあたり(=骨盤上口)からS状結腸がはじまる。S状結腸は蛇行しながら正中(中央)に寄ってきて、最終的に仙骨に接するあたりで直腸になる。このときの蛇行の様子が、S字型(C字型)に見える。
下行結腸は、腹膜に半分だけが覆われている後腹膜器官だが、S状結腸は腹壁から離れて走る腹膜内器官である。