線維 のバックアップ(No.3)
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
線維とは、または繊維とは、ごく細い糸状の構造を指して呼ぶ言い方。
* | 線維と繊維、どちらの漢字も使うが、医学用語ではどちらかというと「線」の字を使うのが普通。異体字を参照 |
** | 英語では fiber よりも細い線維を特に fibril(細線維)と呼ぶことがある |
*** | fibre は英国式のつづり。発音は同じ |
生体内で線維という言葉を使って呼ばれる代表的なものは下記のとおり。
- 主に、蛋白質などのいろいろな分子で構成されている糸状の構造。細胞内外にさまざまな種類が存在し、たいていはある程度以上の強度をもっているので、体内のさまざまな構造を支える働きをしていることが多い。代表的なのは、コラーゲン線維(膠原線維)。これは、蛋白質コラーゲンがたくさん集まって、全体として細長い糸状になったもので、生体内では細胞外に非常に多量に存在し、いろいろな結合組織の主要な成分となっている。力学的な強度があるため、コラーゲン線維があると、構造が壊れにくくなる働きがある。ほかに、細胞外にある線維では、弾性線維、細網線維など、構成している蛋白質の種類がコラーゲン線維とは異なるものがいろいろある。線維と呼ばれる成分は細胞内にもあり、すべての細胞の形を維持する細胞骨格として働いているアクチンなどからできた細線維や、チューブリン蛋白質からできていて微小管とも呼ばれる太い線維、筋肉の運動をおこすおおもとである、筋細胞のなかにあるミオシン線維、アクチン線維など。
- 神経細胞の細胞の一部が細長く伸びだした神経線維。
- もともと1個の細胞の形が非常に細長い筋細胞のことを筋線維ともいう。
- 食物中に含まれ、小腸を通りすぎた後も、消化されずに残っている糸状の構造をした成分を総称して、線維、あるいは体を構成している線維と区別するため、食物線維と呼ぶ。