肩甲骨
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
肩甲骨とは、上肢の根元、肩にある骨。平べったい骨(扁平骨)で、形は縦に長い逆三角形。左右1対あり、肋骨などでできている胸郭の後面に沿ってある。鎖骨とともに上肢帯を作り、上肢の運動の支点になる骨。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 肩甲骨、肩胛骨 * | けんこうこつ |
一般 | 貝殻骨 ** | かいがらぼね | |
古語 | 胛 *** | かいがね | |
ラテン語・英語 | scapula | (ラテン語読み)スカプラ (英語読み)スカピュラ | |
英語 | shoulder blade | ショウルダー・ブレイド | |
blade bone | ブレイド・ボウン |
* | 本来の漢字は、「肩胛骨」だが、医学・解剖学では、「肩甲骨」が普通。現在の医学辞書には「肩胛骨」は載っていないことも多い。「甲」と「胛」は異体字ではなく、意味の違う字 |
** | 前面がゆるくくぼんでいて、二枚貝の貝殻のような曲面をしていることから呼ばれる俗称 |
*** | 「胛」(コウ)は、古語では「かいがね」と読む |
上腕の運動の支点になる骨だが、肩甲骨そのものも、向きを変えたりすることができる。これは上腕をさらに自由に運動させるのに重要な役割をもっている。例えば、肩甲骨を動かさず、肩関節だけを使って腕を上に挙げても、真横ぐらいまでしか挙がらない。腕を真上まで挙げるには肩関節のある肩甲骨そのものが回転し、肩関節を上に向ける必要がある。
肩甲骨の部位 †
- 肩甲骨の外側の端には関節窩がある。肩甲骨の関節窩は浅い半円形の窪みで、ここに上腕骨の上腕骨頭がはまって、肩関節を作る。肩関節が上肢の運動の中心になる。
- 肩関節を取り囲むように2つの突起、肩峰と烏口突起がある。これらはいくつかの筋の付く場所で、肩関節を保持し外れにくくしている。
- 肩甲骨の外側に飛び出している肩峰の内側には肩峰関節面があって、ここで肩甲骨と鎖骨が肩鎖関節をつくっている。肩鎖関節は、肩甲骨そのものが動くときの支点となる。
- 肩甲骨の後面には、肩甲棘という、皮膚から触っても分かるふくらみが横方向に走る。肩甲棘の外側は肩峰につながり、内側は上角ちかくの内側縁までのびる。肩甲棘には僧帽筋の下部の筋が付く。
- 内側縁には、脊柱と肩甲骨をつなぎ、肩甲骨を正中の方向に引き寄せる筋がつく。上から、肩甲挙筋、小菱形筋、大菱形筋。胸を張るとき、肩をすくめるときに働く。
- 肩甲棘によって肩甲骨の背面のたいらな広い領域は上下に区分される。上が棘上窩、下が棘下窩である。棘上窩では棘上筋、棘下窩では棘下筋がおこる。どちらも上腕骨につき、肩関節を支えるローテーターカフ(回旋腱板)を構成する筋。
*1 Source: BodyParts3D, © ライフサイエンス統合データベースセンター licensed under CC表示 継承2.1 日本
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