密性結合組織
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
密性結合組織とは、または緻密結合組織とは、結合組織の一種で、結合組織をつくっている細胞、線維、それ以外の細胞外基質のうち、膠原線維、細網線維、弾性線維などの線維性の成分がびっしりと詰まっているタイプ。このため、線維性結合組織とも呼ばれる。線維が多いため極めて丈夫で、強い力を受けやすい場所や引っ張られることが必要な場所に分布する。腱、靱帯、皮膚の真皮など。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 密性結合組織 | みっせいけつごうそしき |
緻密結合組織 | ちみつけつごうそしき | ||
線維性結合組織(繊維性結合組織) | せんいせいけつごうそしき | ||
英語 | dense connective tissue * | デンス・コネクティブ・ティシュー | |
fibrous connective tissue ** | ファイブラス・コネクティブ・ティシュー |
* | 密性結合組織、緻密結合組織に対応 |
** | 線維性結合組織に対応 |
密性結合組織は、狭い意味での結合組織(固有結合組織)に含まれる。疎性結合組織とは含まれる線維の量で区別される。線維が多いため強靭で、強く引っ張られたときにもちぎれにくい。構成している線維は特に太い束を作ったコラーゲン線維(コラーゲン線維束)が中心。組織内部の線維のわずかなすき間には、線維芽細胞がぽつぽつあり、この細胞がコラーゲン線維をつくって細胞の周囲に分泌することで、結合組織を形成、維持している。
密性結合組織は、結合組織内の線維の配列によって2種類に分けられる。
- 密性規則性結合組織ではコラーゲン線維の束が、一方向にきれいに揃って並んでいる。腱や靭帯がこのタイプ。
- 密性不規則性結合組織ではコラーゲン線維の束は3次元的に様々な方向に走り、入り組んでいる。皮膚の真皮がこのタイプ。
コラーゲン線維は、その線維の走る方向に引っ張られた時にもっとも強い力を出せるので、腱や靭帯をつくる密性規則性結合組織では、ある特定の方向(例:腱の走る方向)にひっぱられたときにだけ極めて強い。一方、皮膚の真皮にある密性不規則性結合組織では、皮膚がいろいろな方向から受ける力に対して、まんべんなくそこそこの強さを発揮できる。