気管
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
気管とは、のど(喉頭)から先、肺に行く途中までの空気の通り道(気道)をつくっている管。呼吸器系に含められる器官である。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 気管 | きかん |
英語・ラテン語 | trachea | (英語読み)トゥレイキア、トゥラキーア (ラテン語読み)トゥラケア | |
英語 | 形容 | tracheal | トゥレイキアル |
位置 †
気管は喉頭(のど仏のあたり)の下につながっている。首(頚部)の前面を下に続く。頚部の前面では気管がいちばん表層(腹側)にあるので、触ることができる。その後ろに隠れて深層にあるのが食道。気管と食道は、第1肋骨の内側から胸腔に入る。左右の肺の間(縦隔)を下に進み、最後は左右の肺に行く一対の気管支に分かれる。
構造 †
気管の壁の中には、軟骨が入っているため、首で気管を触ると表面がごりごりしており、また、パイプやホースのような丸い形が常に維持されている。これにより、空気が通りやすくなっている。この軟骨は気管軟骨という、断面がC字型をした軟骨で、これがたてに連なっている。軟骨の入っていない壁の部分は、平滑筋の筋層で補強されている。特に、C字型の切れた部分は、気管の後面(背側)にあり、この部分は膜壁または膜性壁という。食道はその後方に隣り合っている。
気管の内側の粘膜には、気管腺があり、気管の内側に粘液などを分泌する。気管の内側の表面はこの粘液で常に覆われ、保護されている。また、この壁には線毛(繊毛)がはえている。線毛が運動することで、この粘液は肺から外に出す方向に流されていく。気道に入ってきたごみなど異物は壁の粘液にくっつくと、粘液の流れとともに気道から外へと流しだされる。