粗面小胞体
rough ER、rER でこの項目を参照しています
粗面小胞体とは、細胞小器官のひとつで、小胞体(ER)のひとつ。小胞体は細胞質にたくさんあって、ひとつひとつがひらべったい袋状の構造をしている。このうち、電子顕微鏡でみるとその表面がつぶつぶして見えるのが、この粗面小胞体。小胞体表面のつぶつぶはリボソーム。リボソームがなく、表面がつるりとしているのが滑面小胞体。粗面小胞体は、細胞外に分泌されるタンパク質などが合成される場所。
用語 | 表記 | 発音、読み方 | |
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日本語 | 医学 | 粗面小胞体 | そめんしょうほうたい |
英語 | rough-surfaced endoplasmic reticulum | ラフ・サーフェスト・エンドプラズミック・レティキュラム | |
granular endoplasmic reticulum | グラニュラー・エンドプラズミック・レティキュラム | ||
略語 | rER | アール・イー・アール | |
rough ER | ラフ・イー・アール |
リボソームではメッセンジャーRNA(mRNA)から新しいタンパク質(ペプチド)が翻訳されて作られるが、粗面小胞体のリボソームでつくられたタンパク質は、粗面小胞体の袋状の膜の内側に貯められたり、小胞体の膜に埋め込まれたりする。小胞体の内側に貯められたタンパク質は、最終的には細胞外に放出(分泌)され、小胞体の膜に埋め込まれたタンパク質は細胞膜などの他の膜に運ばれ、膜タンパク質になる。(タンパク質のうち、粗面小胞体のリボゾームでつくられないものは、細胞質にある遊離リボゾームでつくられる。遊離リボゾームでつくられたタンパク質は、細胞質のタンパク質になる。)
したがって、粗面小胞体は、細胞外に分泌したり、膜に埋め込まれるタンパク質をたくさんつくる細胞の細胞質には、とくにたくさん見られる。そういう細胞の例として、唾液や膵液など、タンパク質分解酵素(というタンパク質)をたくさん含む消化液を分泌する細胞、成長ホルモンなどのタンパク質でできたホルモンを分泌する細胞、神経細胞(ニューロン)など。
粗面小胞体は電子顕微鏡でないと見えないが、ふつうの顕微鏡(光学顕微鏡)で染色した細胞を観察すると、細胞質に粗面小胞体がたくさん集まっている場所は細胞質の他の部分とは違う色に見える。たとえば、神経細胞のニッスル小体(ニッスル物質)とは粗面小胞体が集まっている場所。また、腺細胞などでエルガストプラズマというのも同様。