脳室 のバックアップ(No.2)
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
脳室とは、脳と脊髄の中に空いている穴のことで、脳脊髄液(=髄液)という液体で満たされている。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 脳室 | のうしつ |
英語 | ventricle* | ヴェントリクル |
脳室は一続きの空洞で、脳や脊髄の外側とつながっているのは、小脳の下部にある穴、第4脳室正中口(マジャンディ孔)、第4脳室外側口(ルシュカ孔)のところだけである。また、脳室内の壁の一部には、脳脊髄液を産生する脈絡叢がある。
脳室の由来 †
中枢神経系である脳と脊髄は、発生をさかのぼると神経管という1本の中空の管に由来する。この管の壁を作っているのが神経細胞やグリア細胞など、神経組織を作る細胞のもとになる細胞で、壁の細胞が増殖して厚くなっていった部分が脳や脊髄になる。神経管の内側の空間は、脳や脊髄になった後も、一続きの空間のまま残されるが、これが脳室である。
脳室の部分 †
脳室は、いくつかの箇所でふくらんで広い部屋に分かれており、それぞれの部分に名前がついている。
- 側脳室
- 左右の大脳半球の内部にあり、1対ある。大脳の発達に合わせて広がった脳室で、前頭葉、後頭葉、側頭葉に対応するように出っ張った変な形をしている。第3脳室とは室間孔(モンロー孔)を介してつながっている。
- 第3脳室
- 間脳の内部にある脳室。正中面上にあり、前端近くでは左右の側脳室と室間孔でつながっていて、後方では、中脳水道とつながっている。
- 中脳水道
- 中脳の中を貫通する細い管状の脳室。前端(上端)では第3脳室と後端(下端)では第4脳室とつながる。
- 第4脳室
- 橋の背側、小脳の腹側にあり、これらにはさまれるようにある脳室。上方では中脳水道と、下方では延髄の中心管につながる。第4脳室には、脳室内と脳の外側をつなぐ穴が3個開いている。正中面上にある第4脳室正中口(マジャンディ孔)と左右端にある第4脳室外側口(ルシュカ孔)である。
- 中心管(脊髄中心管)
- 第4脳室の下方につながる細い管状の脳室。延髄の途中から始まり、脊髄の下端付近までつながっている。