胃腸内分泌細胞
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
胃腸内分泌細胞とは、または腸内分泌細胞とは、消化管(胃や腸)の内側に面した上皮で、通常の上皮細胞にポツポツまざっている、ホルモンなどを分泌する細胞。胃腸内分泌細胞から分泌されるホルモンには、多くの種類があるが、それらをまとめて消化管ホルモン(胃腸ホルモン)と呼ぶ。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 胃腸内分泌細胞 | いちょうないぶんぴさいぼう |
腸内分泌細胞 | ちょうないぶんぴさいぼう | ||
英語 | gastrointestnal endocrine cell | ガストゥロ-インテスティナル・エンドクライン・セル | |
enteroendocrine cell | エンテロ-エンドクライン・セル | ||
ラテン語 | endocrinocytus gastrointestinalis | エンドクリノキトゥス・ガストゥロインテスティナリス |
消化液や粘液などは、消化管の粘膜の上皮細胞から胃や腸の内側(内腔;食べ物が通るところ)に向かって分泌されるが、一方、胃腸内分泌細胞から分泌されるホルモンなどはそれとは反対側、つまり毛細血管などがある結合組織(粘膜固有層)の側に分泌され、毛細血管に入って全身に送られる。つまり、「胃腸内(に向かって)分泌(する)細胞」ではなく、「胃腸(にある)内分泌(をおこなう)細胞」の意味。胃腸内分泌細胞はかたまりを作らず、細胞1コ単位でばらばらに存在している。
腸内分泌細胞の例 †
胃腸内分泌細胞には、分泌するホルモンが異なる多くの種類があり、それぞれ消化管のどのあたりにあるかも違っている。胃腸内分泌細胞は、たいていはアルファベットのなまえがつけられている。
- G細胞 - ガストリンを分泌する細胞、胃の幽門部と十二指腸にかけて分布
- S細胞 - セクレチンを分泌する細胞、十二指腸から空腸にかけて分布
- I細胞 - コレシストキニン(CCK)を分泌する細胞、十二指腸から空腸にかけて分布
- K細胞 - GIP(グルコース依存性インスリン放出ペプチド、または胃抑制性ペプチド)を分泌する細胞、空腸に分布
- D細胞 - ソマトスタチンを分泌する細胞、胃と小腸、膵臓のランゲルハンス島に分布