骨組織

『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
 

 骨組織とは、をつくっている組織のこと。主にコラーゲン細線維や、アパタイト類(リン酸カルシウムなどを含む)などの無機質をたくさん含んだ細胞外基質からできていて、これを骨基質という。骨基質のなかに骨細胞がぽつぽつ埋まっていて、これを合わせて骨組織。線維と無機質があるために、硬くてしかも弾力性があり、これが骨の性質を作り出している。無機質が沈着して硬い組織は硬組織という。骨組織は、結合組織支持組織などに分類される。

言語表記発音、読み方
日本語医学骨組織こつそしき
英語osseus tissueスィアス・ティシュー
bone tissueーン・ティシュー

 のなかで、骨の表面付近にある、硬い骨組織がみっしり詰まっている場所は緻密骨(緻密質、皮質骨)といい、骨の内部にある、硬い骨組織がスポンジ状に穴だらけになっている場所を海綿骨(海綿質)という。海綿骨の部分で骨組織のすき間に入り込んでいるのは、骨の内側にある骨髄の組織である(骨髄は血球をつくる場所)。骨の一番表面には、骨を外から包んでいるコラーゲン線維の層である骨膜がある。

 骨基質は、細胞が作り出して、細胞のまわりに分泌して蓄積されていく。これによって骨が大きくなっていく。できあがった骨の中に埋まり込んでいる骨細胞は、このようにして自分のまわりに骨基質を分泌した細胞。これから骨基質を分泌して、骨を成長させる細胞はこの骨細胞ではなく、骨の表面の骨膜との間などにたくさん並んでいる骨芽細胞。また、骨組織には、骨を壊す細胞である破骨細胞もいる。破骨細胞は骨基質をとかして、骨の中に貯えられたカルシウムなどを血液中に放出するはたらきがあるので、血液中のカルシウム濃度の調節に重要。

 骨の中の方には、酸素や栄養がしみこんではいかないので、骨の中には血管がたくさん通っている。骨細胞は血管に向かって突起を伸ばしていて、血管を中心に同心円状にならぶ。血管を中心とした骨組織の同心円を骨単位またはハバース系という。

 子どもの骨基質は、コラーゲンが多く、まだ無機質の沈着が少ないので、弾力性は高いがそれほど硬くない。一方、年をとるに連れてコラーゲン線維が減り、無機質の沈着が増えるので、硬くはなっていくが、弾力性が失われてもろくなる。

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