指 のバックアップ(No.7)
指とは、手や足の一部で、上肢や下肢のもっとも先端(遠位)にあたる、細い突起の部分のこと。ヒトでは片側の手や足に指は5本ずつあるので、合計で20本の指がある。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 指* | ゆび |
英語 | digit** | ディジット | |
形容 | digital | ディジタル | |
ラテン語 | digitus | (ラテン語読み)ディギトゥス (英語読み)ディジタス |
* | 「指」という言葉は、手の指(=手指)と足の指(=足指)の両方を含む意味で使うこともあるし、「指」といったら、自動的に手の指のことを指し、足の指のときにだけ「足の指」、「足指」などと呼んで手の指と区別することもある。足指を1文字で表す 趾という漢字もある |
** | digit は堅苦しい英語。会話では使わない。手の指は finger、thumb、足の指は toe など別の呼び名がある。手指、足指の項目を参照 |
目次 |
指の構造と骨・関節 †
指の根元と指の途中には関節があるので、その場所で曲げ伸ばしができる。指の関節から関節までの間を指節(しせつ)という。親指(母指)以外の指では、1本の指の関節の数は、根元に1箇所、途中に2箇所の計3つで、これらに区切られた3つの指節がある。3つの指節を指の根元から順に、基節、中節、末節という。
指の内部にある骨を、まとめて指骨(しこつ)という。3つの指節の中にはそれぞれ1つずつ指骨が入っているが、これを指節骨という。基節、中節、末節にある指節骨を、基節骨、中節骨、末節骨という。
指の根元の関節は、手と足で呼び方が違う。これは基節骨と関節を作っている骨の名前が手と足で違うから。手では、手の甲(手背)の骨である中手骨と基節骨とがつくっているので、中手指節関節(MP関節またはMCP関節)という。足では、足の甲(足背)の骨である中足骨と基節骨とがつくっているので、中足指節関節(MP関節またはMTP関節)という。
指節骨どうしの間の関節を、指節間関節(IP関節)という。2つある指節間関節のうち、基節骨と中節骨の間の関節を近位指節間関節(PIP関節)、中節骨と末節骨との間の関節を遠位指節間関節(DIP関節)と呼んで区別する。
母指では、指の途中の関節は1つ、指節は2つで、ほかの指よりも1つずつ少ない。指節骨の名前は、中節骨がなく、基節骨と末節骨とが関節を作っている。この関節は、たんに指節間関節という。
骨や関節の数は、手の指も足の指も全く同じで、名前の付け方だけが違う。
手と足の両方をさすとき | 手だけをさすとき | 足だけをさすとき |
---|---|---|
指骨 | (手の)指骨(手指骨) | 「足の指骨」(足指骨)または趾骨(しこつ) |
指節骨 | (手の)指節骨 | 「足の指節骨」または趾節骨(しせつこつ) |
指節間関節 | (手の)指節間関節 | 「足の指節間関節」または 趾節間関節(しせつかんかんせつ) |
手指の名前
日本語の名前 †
一般の呼び名 | 解剖学での名前 (固有の名前) | 解剖学での名前 (番号による名前*) |
---|---|---|
親指(おやゆび)、 拇指(ぼし) | [手の]母指**、 (ての・ぼし) | [手の]第1指**(ての・だい1し)、 第1手指(だい1しゅし) |
人差し指(ひとさしゆび)、 示指(じし)、 食指(しょくし) | 示指 ***(じし) | [手の]第2指(ての・だい2し)**、 第2手指(だい2しゅし) |
中指(なかゆび、ちゅうし)、 長指(ちょうし) | 中指(ちゅうし)*** | [手の]第3指(ての・だい3し)**、 第3手指(だい3しゅし) |
薬指(くすりゆび、やくし) | 薬指(やくし)***、 環指(かんし) | [手の]第4指(ての・だい4し)**、 第4手指(だい4しゅし) |
小指(こゆび、しょうし) | [手の]小指** (ての・しょうし) | [手の]第5指**(ての・だい5し)、 第5手指(だい5しゅし) |
* | 番号による名前は、つまらない名前のような気がするが、間違いようがないので非常に便利 |
** | 手の指に「手の」をつけなければいけないのは、「指」を手足両方をさすのに使っているとき |
*** | 母指(ぼし)、小指(しょうし)は手にも足にも使うが、足の指には、示指、中指、薬指(環指)などはあまり使わない。かわりに番号のついた名前を使う。だから、示指、中指、薬指は「手の」をつけなくとも自動的に手の指をさす。足指を参照 |
英語・ラテン語の名前 †
- 英語、ラテン語で、手指を番号で呼ぶときの注意点
- 一般に使う英語名と、解剖学で使う英語・ラテン語名とで、番号が1つずつずれている点に注意が必要。例えば、示指(人差し指)を英語でいうと、一般には first finger だが、解剖学の名前では second finger となる。この原因は、英語で母指(親指)は、一般には thumb と呼んで finger には含めず、手の指は1本の thumb と 4本の finger(s) と考えるのに対し、解剖学では 母指も finger に含め、5本の finger があると考えるため。
一般の英語名 | 解剖学での英語名* | ラテン語名 |
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(親指) | ||
・thumb サム | ・first finger** ファースト・フィンガー, ・thumb サム, ・first digit of hand (digit I of hand) ファースト・ディジット・オブ・ハンド | ・digitus [manus] primus (digitus [manus] I) ディギトゥス [・マヌス]・プリムス, ・pollex ポレクス |
(人差し指) | ||
・index finger インデックス・フィンガー, ・forefinger フォアフィンガー, ・first finger ファースト・フィンガー | ・second finger セカンド・フィンガー, ・index finger インデックス・フィンガー, ・forefinger フォアフィンガー, ・second digit of hand (digit II of hand) セカンド・ディジット・オブ・ハンド | ・digitus [manus] secundus (digitus [manus] II) ディギトゥス [・マヌス]・セクンドゥス |
(中指) | ||
・middle finger ミドル・フィンガー, ・second finger セカンド・フィンガー | ・third finger サード・フィンガー, ・middle finger ミドル・フィンガー, ・third digit of hand (digit III of hand) サード・ディジット・オブ・ハンド | ・digitus [manus] tertius (digitus [manus] III) ディギトゥス [・マヌス]・テルティウス, ・digitus medius ディギトゥス・メディウス |
(薬指) | ||
・ring finger リング・フィンガー, ・third finger サード・フィンガー | ・fourth finger フォース・フィンガー, ・fourth digit of hand (digit IV of hand) フォース・ディジット・オブ・ハンド | ・digitus [manus] quartus (digitus [manus] IV) ディギトゥス [・マヌス]・クァルトゥス, ・digitus anularis ディギトゥス・アヌラリス |
(小指) | ||
・little finger リトル・フィンガー, ・fourth finger フォース・フィンガー | ・fifth finger フィフス・フィンガー, ・fifth digit of hand (digit V of hand) フィフス・ディジット・オブ・ハンド | ・digitus [manus] quintus (digitus [manus] V) ディギトゥス [・マヌス]・クイントゥス, ・digitus auricularis ディギトゥス・アウリキュラリス, ・digitus [manus] minimus ディギトゥス [・マヌス]・ミニムス |
* | 解剖学での名前は、finger(または digit of hand)の前に、first~fifth までの番号を示す言葉を付ければよい |
** | 番号の名前(赤)は、一般名と解剖学の名前の番号がずれている |
足指の名前
1つの足にある指は5本で、それぞれの指の名前は以下の通り。
日本語の名前 †
一般の呼び名 | 解剖学での名前(固有の名前) | 解剖学での名前(番号付の名前*) |
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足の親指(あしのおやゆび) 足の拇指(あしのぼし) | 足の母指(あしのぼし)** 母趾(ぼし) | 足の第1指(あしのだい1し) 第1足指(だい1そくし) 第1趾(だい1し) |
足の人差し指(あしのひとさしゆび) | ―** | 足の第2指(あしのだい2し) 第2足指(だい2そくし、だい2あしゆび) 第2趾(だい2し) |
足の中指(あしのなかゆび) | ―** | 足の第3指(あしのだい3し) 第3足指(だい3そくし) 第3趾(だい3し) |
足の薬指(あしのくすりゆび) | ―** | 足の第4指(あしのだい4し) 第4足指(だい4そくし) 第4趾(だい4し) |
足の小指(あしのこゆび、しょうし) | 足の小指(あしのしょうし)** 小趾(しょうし) | 足の第5指(あしの・だい5し) 第5足指(だい5そくし) 第5趾(だい5し) |
* | 番号による名前は、つまらない名前のような気がするが、間違いようがないので非常に便利 |
** | 母指(ぼし)、小指(しょうし)は手にも足にも使うが、足の指には、示指、中指、薬指(環指)などはあまり使わない。かわりに番号のついた名前を使う。だから、示指、中指、薬指は「手の」をつけなくとも自動的に手の指をさす。手指を参照 |
英語・ラテン語の名前 †
一般名 | 解剖学での英名 | ラテン語名 |
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(足の親指) | ||
・great toe グレイト・トウ ・big toe ビッグ・トウ ・first toe ファースト・トウ | ・great toe グレイト・トウ ・first toe ファースト・トウ ・first digit of foot (digit I of foot) ファースト・ディジット・オブ・フット | ・digitus pedis primus (digitus pedis I) ディギトゥス・ペディス・プリムス ・hallux ハルクス ・pollex pedis ポレクス・ペディス |
(足の人差し指) | ||
・second toe セカンド・トウ | ・second toe セカンド・トウ ・second digit of foot (digit II of foot) セカンド・ディジット・オブ・フット | ・digitus pedis secundus (digitus pedis II) ディギトゥス・ペディス・セクンドゥス |
(足の中指) | ||
・third toe サード・トウ | ・third toe サード・トウ ・third digit of foot (digit III of foot) サード・ディジット・オブ・フット | ・digitus pedis tertius (digitus pedis III) ディギトゥス・ペディス・テルティウス |
(足の薬指) | ||
・fourth toe フォース・トウ | ・fourth toe フォース・トウ ・fourth digit of foot (digit IV of foot) フォース・ディジット・オブ・フット | ・digitus pedis quartus (digitus pedis IV) ディギトゥス・ペディス・クァルトゥス |
(足の小指) | ||
・little toe リトル・トウ ・fifth toe フィフス・トウ | ・little toe リトル・トウ ・fifth toe フィフス・トウ ・fifth digit of foot (digit V of foot) フィフス・ディジット・オブ・フット | ・digitus pedis quintus (digitus pedis V) デギトゥス・ペディス・クイントゥス ・digitus pedis minimus ディギトゥス・ペディス・ミニムス |
- 解剖学での名前は、toe (または digit of foot)の前に、first~fifth までの番号を示す言葉を付ければよい |
- 足指の番号の名前(緑)は、手指と違って、一般名と解剖学の名前の番号がずれていない |