線毛上皮
『1年生の解剖学辞典』~ 解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説 ~
線毛上皮とは、または、繊毛上皮とは、線毛(繊毛)のたくさん生えている上皮。上皮とは、体内の何かの表面に面した仕切りをつくっている膜状の構造で、上皮細胞がびっしりと並んでできている。線毛は、細胞から生える毛の一種で、1本1本が波打つように動くことで、その場所の液体に流れを起こすことができる。線毛上皮は、何かの液体の流れを起こしたい場所にある。
言語 | 表記 | 発音、読み方 | |
---|---|---|---|
日本語 | 医学 | 線毛上皮 | せんもうじょうひ |
英語 | ciliated epithelium | スィリエイティッド・エピスィーリアム |
線毛上皮の例 †
- 気道の上皮
- 空気の通り道となる呼吸器系の器官、例えば、鼻腔、副鼻腔、喉頭、気管、気管支の空気の通る穴に面する上皮。多列円柱線毛上皮。この上皮の表面は、杯細胞から分泌される粘液で覆われていて、上皮に生えている線毛が動くことで、その粘液とともに、空気中に含まれていた異物を体外へ運び出す。
- 女性生殖器系で、卵が運ばれる場所
- 卵巣から排卵された卵は、卵管を通って子宮に運ばれる。卵管と子宮の上皮は単層円柱線毛上皮。卵は精子と違って自分で動くことができないので、線毛上皮のつくる液体の流れに乗って、卵管から子宮へと運ばれる。精子はその流れに逆らって卵に向かって泳いでくる。また、この流れは、液体を体内から体外へ押し出す流れでもあるので、病原菌、雑菌などの侵入を防ぐ意味もある。
- 男性生殖器系の精子の通り道の一部
- 精巣(睾丸)から精子を運び出す短い管(精巣輸出管)は、単層円柱線毛上皮。まだできたばかりで動くことができない精子をまとめて精巣上体(副睾丸)に送り出す。